panasonic SB-DT200蘇生 ― 2022年04月14日
最近、スピーカー熱が上がってしまった影響で、ヤフオクでついうっかり指が滑って落札してしまったブツを修理してみました。
パナソニックのSB-DT200という、ミニコンポセットのスピーカーです。
テクニクスの名機SB-M01のローコスト版になるでしょうか。
口径8cmのロングストロークウーハーを搭載し、パワーをブチ込むとそのサイズを超えたスケール感を楽しめる真面目に面白いスピーカーで、パナというよりもテクニクスの血統でしょうか。
このモデルは当時電気店でウーハーがフルストロークしているのを見つけてしまい、気になってしょうがないので後にスピーカーだけ新品購入しました。
しかし、勤務先が黒企業化し色々悪化。仕事量と収入が完全に反比例するワーキングプア状態に陥り生活費捻出のためにクソみたいな金額で処分...。
いや、当時はその僅かなカネさえも欲しかったんですよ。そのくらい困窮していたので。
でも今は脱サラしてやっと買い戻せるようになりました。
贅沢は出来ないけど、このくらいの娯楽は生きていく上でとても大切ですからね。楽しみますよ!

届いたブツです。
ツィーターが見事なまでに秘孔を突かれて死んでいます。
ウーハーのエッジも経年でボロボロに朽ち果てて見るも無残な姿です。
まぁ落札金額は60円ですからね。ほぼ送料、全然問題ありません。
このモデルはウーハーのエッジだけを張り替えて鳴る状態にすると結構なお値段で売れるのでヤフオクでも人気のようですが、さすがに秘孔を突かれていると修理できないようで、全く値が上がりません。
フフフ、こういうのを直すのが楽しいんですよ!

バラします。
普通のバスレフ型の箱ですが、仕切り板が入っていて低音強化に一役買っているようです。
ビクターのSX-100っぽい構造ですかね。

ウーハーのエッジは朽ち果てて、ツィーターは音は出るけど「おまえはもう死んでいる」状態です。

音は出ますが見た目が残念ですね。
このツィーターは、たとえ突かれていなくてもドームのコーティングが経年で割れてポロポロ剥がれて磁気回路の磁性流体が染み出てくる仕様ですので、どのみち修理が必要になります。
音とか性能に関しては置いといて、修理する側から見ると磁性流体は大嫌いです。

バラして磁性流体を完全に除去します。
そんな事したら耐入力が下がるだろ!って声が聞こえてきそうですが、私は住宅地に住んでいる関係でボイスコイルが焼き切れるような音量は全然無理なので徹底的に除去しました。
販売目的ではないので、自由にお気楽に、自己責任でね!

ウーハーのエッジを除去します。
これがけっこう大変なんですよね。特に裏側・・・。
この作業を丁寧に確実に出来るかどうかで仕上がりが決まります。
ヤフオク等に出ているエッジ張替え済の商品は、完全に除去していないのが画像からも確認できますね。
確かにそこまでしなくても取り敢えず音は出るようにはなりますが、今回は売り物ではなく個人の趣味、娯楽ですからね。せっかくなので徹底的にやって楽しみますよ!
だいたい1本あたり1時間くらいかかりますね。
時間換算(時給ではありません。工賃です)で8000円x2ってところでしょうか。
なんでもそうですが、新品購入よりも修理のほうが遥かに高額になるのが普通です。
それを自分でやる贅沢・・・自己責任・・・こんなにもスリリングで楽しい趣味、なんて贅沢なんでしょう!!
(病気)

エッジはいつものAliexpressで使えそうなサイズをポチっとな。
3週間ほどで届きました。

口径8cmですが振動版の有効面積は一般的な8cmユニットよりも小さく、これっぽっちしかありません。
エッジのサイズも一般的な8センチとは違ってちょっと特殊で価格も高めです。

コーン径が小さくカーブ角がキツいという特殊なユニットなので、正確に密着させるために工作用紙で接着治具を作って作業しました。
小口径ゆえに地味に難易度が高いです。
ヤフオクに出ている修理品の仕上がりも、残念な物が多い印象です。
なんといいますか、サーキットと違ってエスケープゾーンの無い峠をギリギリで走っているような、そんな感覚でドキドキワクワクしながら接着剤を塗布していきます。

ウーハーがひと段落したところで大陸からツィータードームAssyが届きました。
純正ではありませんが、ドーム径も外周もVC径も全て同じものを見つけました。
オリジナルに比べ巻き数が明らかに多いので、それが音にどう影響するか、ちょっと楽しみですね。

同じサイズなので芯出しもカンタンです。
多分、暗黙の規格なんでしょうね。

組みあがってからインピーダンス特性を確認。
2つとも、ほぼ同じ特性でした。
実は最初に組んで計測したら、片方ボイスコイルタッチっぽい結果が!
組み付け時にゴミが入り込んでビビりが出ていました。
ツィーターのタッチは聴感での判定はなかなか難しいので、測定していなかったら気づかなかったと思います。
やっぱり、確認作業は大切ですね。

完成!
ピアノブラック、かっこいいですね~!

試聴。
実は今回で2セット目なんです。
前回仕上げたほうもツィーターを突かれていたため、アルパインのツィータードームを移植して仕上げました。
2セット並べるとカッコイイですねー!
今回仕上げた方は、ツィーターが元気な印象です。
インピーダンスが大きく変わったので(3Ωから7Ω)ネットワークのカットオフが下へ変化した影響が大きいと思われます。
しかしまぁこのサイズでこの低音再生能力は見事です。
全体的に少し硬質な表現ですが、ミニコンポのスピーカーとは思えない、真面目な音です。
コンポのセットではなく、単品販売すればソコソコ売れたのではと思いますが、そんな事したら兄貴分のSB-M01が売れなくなるので諦めたのかなと勝手に想像しています。
暫く聴き込みましたが、どうしてもツィーターの音圧が高く個性が強く出てしまうのでネットワークの定数の見直しは必須ですね。
ツィーターそのものの音質は素直系なので好印象でした。
じっくりのんびりネットワークをセッティングして仕上げ作業を楽しむとしましょうかね。
なぁんて思っていたら、フラっと立ち寄ったドフでツィーターが生きているブツが転がっていたので思わず捕獲・・・3セット目どうすんのよ。
まぁ、直して遊びますよ!
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