CDP-701ES延命計画 32024年03月24日


前回作ったLPFですが、30kHz以上で位相が暴れ気味だったのがちょっと気になったので、その点を含めてもう少し追い込んでみました。
まぁ、人間には全然聞こえない帯域なので問題ないと思いますが、見ちゃうとね・・・。





位相の乱れはもちろん、周波数特性も改善できました。
19kHzあたりから減衰が始まって20kHzで-1dB、そこから一気に急降下です。

オシロだけでここまで仕上げる事は普通に無理でしたね。
ANALOG DISCOVERY様様です。アナログやってるなら買って損は無いですよ!












それではいよいよ実機に換装です。
裏面のタンタルコンデンサが凄く邪魔なんですよね。












専用設計なので難なく装着完了。













周波数特性もご覧の通り。キレイにフラットで問題ありません。
とはいえこれはキチンとした測定器ではなく、PC+ベリンガーUCA222での測定結果です。
UCA222の光出力を701ESに入れて、701ESのアナログ出力をUCA222に戻しています。
まぁ、参考程度ですね。













余談ですが、我が家には昔から強烈なノイズが不定期かつ断続的に飛び込んで来るんです。
オシロで測定中の波形はメチャクチャになって、オーディオ機器にも盛大に飛び込んで機器が誤動作するレベル。ヘッドホンを使用している時は本当に参ってしまいます。

ANALOG DISCOVERY使用時も、ステップ数を多く設定して時間をかけてキメ細かいデータを取っている時に飛び込んでくると、まぁ普通に台無しですわ。
朝とか昼なら発射されていない印象なので、なるべくその時間帯を選んで作業しています。











1kHzの正弦波で、上がLPF前、下がLPF通過後です。
そう、この子は前期モデルの701ESなのでPAM波出力なんです。
このギザギザのPAM波がアナログ処理のLPFで補完されて、こんなにも滑らかな波形になるんですね。
うん、やっぱりデジタルフィルター非搭載のNOSDACにはキチンとしたLPFが必要ですね。

多分、11次のGIC型という攻めた多段LPFを採用した理由は、このPAM波をアナログ処理で完全補完させるためだったのかもしれません。
PAM波はスプリアスが大きいので、その除去に高い減衰量を持ったLPFが必要になるのですが、音質的には何故か良好・・・というか個人的には好みですね。

対する後期型以降のS/H(サンプル&ホールド)させているよく見る階段状の波形はNOSDACで使用するとアパーチャ効果の影響で高域が若干低下してしまいますが、PAM波よりもスプリアスは低いので9次GICでも対応できたのではと思います。
実際、各社NOSDAC方式のCDプレーヤーの多くはS/H方式で7~9次、低下した高域は出力アンプで補償してフラットにしていました。


それではドキドキの試聴タイム!
普通に透き通ったいつもの701ESの音が出ています。
ちゃんと音も生きていていますし、音速感もバッチリです。
オリジナルと比べて少しでも変化があれば、それはそれで楽しめると思うのですが、残念ながら私の耳ではその差はわかりませんでしたよ本当に。
まぁ、あのオリジナルの驚愕絶壁特性を見てしまっているので、たとえ音質面で凌駕していたとしても 「俺が作ったほうがイイぜ!」 なんて、とてもとても言えません・・・・・!

シールドケースが無いのがちょっと心配でしたが、影響は無いようです。











そうそう、壊れたLPFに付いていたオペアンプをよーく見てみると・・・
何故か全部8ピンだけが腐食したように劣化しています。
8ピンだけ違う材質とは思えないので、電位と樹脂が悪さしていたのでしょうか?
樹脂漬けの状態で40年も頑張っていたわけですからね。お疲れさんです。

今回作ったLPFは樹脂を流し込んでいませんので、少なくとも私よりは長生きしてくれるのではないでしょうか。
これでまた1つ、CDP-701ESの弱点を克服する事ができました。
とりあえず、延命化計画としては成功ですかね!




CDP-701ES延命計画 22024年02月03日

前回、LPFの特性を周波数ごとにオシロでレベルを確認していましたが、この方法では11次GICフィルタの特性を評価するには無理があるので、ネットワークアナライザの導入を視野に入れて探したところ、ANALOG DISCOVERY2という物を見つけました。

これがとんでもなく多機能で、どう見ても価格と内容が釣り合いません。
よくある中華のホラ吹き番長的なヤツなんじゃないかと思いきや、あのアナログデバイセズが関わっているだけあって評価も上々。気になってしょーがないので調べまくりました。

主な機能として14bit/30MHzのオシロはもちろん、
スペクトラムアナライザ
ネットワークアナライザ
カーブトレーサー
ファンクションジェネレーター・・・などなど

これほどの機能が手のひらサイズの筐体に入ってて、お値段なんと5万円!



ハァ?

嘘でしょ?!
こんな美味しい話ってある???

ちょっと前までネットワークアナライザは高価な機器を組み合わせて行う物だったと思うのですが・・・コレとPCだけで出来てしまいます!
技術の進歩というか・・・もう完全に浦島太郎状態ですわ。
凄い時代になったもんです。税金も凄いですけど。

ANALOG DISCOVERYは旧モデルの2と最新モデルの3があるのですが、僅かな性能の差は私が使う分には全く問題ないのでちょっと安い2の方をポチりました。










早速PCに繋いで遊んでみます。
こんな手のひらサイズのオモチャみたいな物でホントに出来るんか?って思っちゃいますね。











CQ出版社から出ているもポチって、それを参考に一通りいじって感触を確かめてからネットワークアナライザ機能を試してみました。
いやぁ、まさかこんな事が自宅で出来るようになるなんて・・・!










まずはCDP-701ESオリジナルのLPF特性。
すげぇ・・・!断崖絶壁そのものですわ。
20.5kHz付近からカクっと落ちています。さすがです。









群馬側から見た荒船山と完全に一致ですね。
イイ所なんでしょうけどね、高所恐怖症なのと何よりヒルが苦手なので行ってないです。










こちらは作ったほうの特性。
オリジナルよりも減衰ポイントが丸く、20kHzから落ち始めますがイイ線いってると思います。











特性も確認出来て大丈夫そうなので実機テスト用に1セット作りました。
リード線タイプの部品ですが、これだけ密集していると組むのも大変です。
パターンの引き回しはオリジナルよりも短くなっていますので、定数さえ決まれば劣る事は無い・・・かもしれない?!

次はいよいよ時間を確保して実機に搭載しての試聴です。
時間が、ねぇ・・・・・