victor XL-V1100をDAC化 ― 2025年03月02日
ビクターのピラニアデッキXL-V1100をDAC化してみました。
もう10年以上前になりますか。ヤフオクでヤマハアンプの修理が得意な修理業者さん?がいましてね。
難易度の高いヤマハアンプを細部まで丁寧に仕上げる技術の高さはもちろん、ユーモアに溢れた長~い説明文が素晴らしくて、入札は(とても良いお値段だったので)できませんでしたが毎回ウォッチしていました。
あの文章に惹かれて落札した人も多かったのではないでしょうか。
その人がですね、このXL-V1100を「ピラニアデッキ」と称していたんです。
オデオ仲間の集いで音を聴く機会があったのですが、その音を聴いて皆で納得。良い意味でガツガツとした肉食のハングリー精神に満ちた力強い再生音で、これはもうまさにピラニア!言い得て妙でした。
今回はそのピラニアサウンドを再現すべくDAC化してみました。

この基板は・・・確か金魚の師匠から頂いたピラニアデッキに付いていた物だったと思います。
CD再生が不安定になったので、この基板だけ残して処分したと記憶しています。
そう、気が向いたらDAC化しようと、ぼんやり考えていたのかもしれません。

デジタルフィルターはSM5804Bという物ですが、この素性が分からないとDAC化は難しいです。
パラレル対応のけっこうレアな石のようですが、幸いにもweb上でデータシートを見つける事が出来ましたのでなんとかなりそうです。

DACはPCM54HPが2個という贅沢な構成で、アナログ回路もけっこう凝っています・・・というかぐちゃぐちゃですね。
なんとなく昔のアイワのようなやらかし様ですが、どうやら設計時はフィルムコンデンサだった物を仕様変更で発売時には無理やり大きくて高価なスチコンに変更した結果のようです。
当時のカタログにはフィルムコンの画像が載っていましたので明らかなコストアップ。
こういう事をもっとアピールすれば良いものを、コッソリやるのが良くも悪くもビクターなんですよね。

それではSM5804Bのデータシートとにらめっこです。
今までのように一筋縄では行かない予感・・・
9ページだったかな?ここに鍵となる記述がありますね。
どうやら入力モードがちょっと特殊な設定になっていて、モード変更しないとTC9245N等では使用できないようです。
回路とデータシートをよーく見くらべて、変更点を探っていきます。

まず、マスタークロックを撤去して、外部供給に回路を変更します。
それに合わせて、各モードの変更も行います。
具体的には、クロックを外部供給に、98fs動作だったので96fsに、データフォーマットをLSBからMSBに、LRCKはTC9245Nに合わせてRch=Hにします。
7pinのABSLをN.CからLへ
11pinのCKSLをN.CからLへ
16pinのSCSLをLからH(N.C)へ
60pinのLSBIをLからH(N.C)へ
これで音が出るようになるはずです。
っつーか、こんなのデータシートが無ければ完全に詰んでましたね・・・

早速電源とDAIを接続してテスト。
音が出ません!!
うわ、やっちまったか?!
よーく調べて行くとDACへの±12V系のマイナス側が死んでいます。
おかしいなぁ、当時取り外すまでは動いてたんだけど・・・

べったり塗られた接着剤にツェナーダイオードが根元からポッキリやられてました。
まぁ、古い製品あるあるですよね。
翌日、ヤナイ無線でツェナーを購入して交換したところ無事動作しました!
近所にパーツ屋さんがあるって、ほんと有難いです。

動作確認ができたので、いつものチューナーのケースに組み込みます。
基板が長すぎて入りきらないので斜めにして固定。
トランスはジャンクCDプレーヤーのを流用です。

DAIはTC9245Nを使用した「普通のDAI基板」です。
こういう遊びにはとても便利です。

その隣にはセレクター基板を付けて、パネルのUP/DOWNボタンで入力切替が出来るようにします。
この2つの基板を組み合わせるのが面倒になってきたので、次に作る時はセレクターと一体化した「便利なDAI基板」にしてみようと思います。
ああ、どんどん物臭になっていく・・・!

電源スイッチもメカニカル式に。
今回は秋月のオルタネイトにしてみました。操作感がちょっと堅めですが改造しやすいですね。

こんな感じで固定。
メカメカしくて良いですね!

リアパネルは既存の穴をそのまま利用するのでラクチンです。

完成です。
それではピラニアサウンドを楽しむとしましょうか。
いやー、思わず笑顔になってしまいますね。
あの時聴いた音よりはすこ~しマイルドかな?記憶の中での比較なのでアレですが。
中~高域寄りのクッキリとした、大げさに云うとチャキチャキした感じの鳴り方ですかね。
SM5804には末尾がAからDまで4通りの特性が用意されていて、本機にはBタイプが搭載されています。多分これがSM5804 「B」 の音なのかもしれません。
ビクターは後にK2インターフェイスを開発してCDプレーヤー等に搭載するようになるのですが、本機のクッキリシャッキリした音は初期のK2の音の傾向に共通するものがあるように感じます。
これが当時のビクターの求めていた音だったのかもしれませんね。
このピラニアサウンドを求めて、Bタイプを選定したのかな?なんて。
(その後のK2は全く異なる方向の音になりましたが)
同じBタイプを搭載したモデルにはナカミチのOMS-70があるようですが、機会があれば音を聴いてみたいですね(まぁ価格的に無理かな)
コメント
_ ペテン師(笑) ― 2025年03月04日 00:28
_ 彦馬 ― 2025年03月05日 19:10
懐かしいですよね。
ヤフオクやブログの更新が止まってもう10年以上…
「エロい音がします」の破壊力たるやもう…!
あのCA-2000、ポチッておけば良かったかなー?
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ヤドカリアンプの方ですね。
おいらは、経営されておられたオーディオ喫茶に
アジマス調整を教わりに行きました。
想像していた風貌で、パソコンでヤフオクの行方をチェックしておられました。
今はヤフオクにも出品されていないみたいですねー
カセットテープほど音色の違いはないものの、
DACにより変化する音色は超安定していてデジタルの素晴らしさを感じますね
「遊ぶ感覚」で開発してしまうところが素晴らしいし、
良いアイデアが生まれる秘訣なのでしょうか⁉︎