SANSUI SP-100i ― 2023年02月27日
今回は山水の墓石型スピーカーSP-100iです。
今は亡きサンスイが、最も元気に輝いていた頃の製品です。
当時、とても気になっていたスピーカーでしたが、試聴する機会がないまま現在に至ります。
確か、モスラ (AU-α907i MOS LIMITED) と同時期に発売されていたと記憶しています。
モスラと組み合わせる事を前提として作られたと言っても過言ではない、正気なのか狂気なのか判断し難い入魂のスピーカーです。
オクのブツを見ていると、ツィーターの死亡率が高いようです。
クロスオーバーが低いのでコイルが焼き切れやすいのでしょうか?
そのへんの確認も兼ねて、あえてツィーターが片方死んでいるブツをポチっとな。
石のように重たいので、パレットで届きました。
腰痛持ちには辛いので、フォークリフトのある会社に届けてもらいました。
自宅に運んで、やっとの思いで2階の作業部屋へ運びました。
模様といい形といい、普通に墓石ですね。
なお、墓石の他にリアルウッド柄とホワイトのカラー展開がありました。
開封の儀。
webでよく見た狂気のX字フレーム。
現物を見るとエンジニアの狂気が肌に伝わってくるようです。
もうね、狂気最高ですよ。
ツィーターの固定も、パイオニアでいうところのミッドシップマウント方式です。
ダイキャストのフレームに、何故か木片がボルトで固定されています。
一体どんな効果があるんでしょうか・・・狂気ですね。
ネットワークのコイルとコンデンサも木片に埋め込んであります。
結線は圧着。徹底して狂気ですね。
ウーハーユニットを外しました。
フロントバッフルに固定ではなく、Xフレームに後方から4本のボルトで固定する構造です。
取り外し用の押しボルトが付いている親切設計。
狂気ですが、狂気のまま勢いで作ったよくある駄作ではなく、メンテナンスの事も考えて落ち着いてじっくりしっかり真面目に設計された製品である事が伝わってきます。
ツィーターも背面からボルト4本で固定されています。
ユニットを外した箱だけでも13kgほどありました。狂気です。
取り外したウーハーです。
すげー重いです。
腱鞘炎の手首が真剣に危なかったです。
でっかいマグネットと極厚ダイキャストフレーム・・・
これだけで一体いくらかかっているんだか・・・
意外にもしっかり握りやすい形状なので、狂気というか普通に凶器です。
朽ち果てたエッジを交換するため、バラします。
外周の飾りリングをフレーム共々痛めないように細心の注意を払って外します。
けっこうしっかり接着されていて、大変でした。
さぁ、エッジをキレイに撤去します。
撤去完了。
開口部が広いので、作業性は良好です。
手持ちのエッジの中から選びます。
凸エッジを裏返して付けるため、ひと工夫して取り付けます。
エッジにとっては本来の方法ではないので、確実に接着できる点を重視して、在庫の中から柔らかめの発砲タイプをチョイスしました。
軽く位置合わせ。
いいですね。それでは接着します。
コーンとエッジを密着させるため、あまりやりたくないのですが重りを乗せて密着させました。
キレイに接着できました。
キレイに仕上げても見えない部分なのでどうでも良いのですが、自己満足の世界なので楽しみますよ。
接着剤が乾いたら動作チェック。
問題ありません。特性もほぼ揃っています。
次はツィーターです。
ダイキャストフレームに巨大マグネットの重量級。
凶器というか、もはや鈍器です。
死んでいる方はもちろん、生きている方も網がヘコんでいるのを直すため、両方ともバラします。
表面に貼ってあるコルクシートを剥がすのがけっこう大変でした。
溶剤を使って破かないように慎重に慎重に作業していたらアタマ痛くなりました。
溶剤やばいです。
フレームを外すとチタンドームとご対面。
死んでいる方のボイスコイルを確認します。
過大入力で焼き切れたのではなく、ボイスコイルとリードの結線部が経年劣化で断線していたようです。
ツィーターの死亡率が高いのは製造上の理由という事になりますかね。
結線部が接着剤で覆われているため目視では分かりにくかったです。
コイル線を5ミリほど解いて、リードへの位置を変えてハンダ付けしました。
この手の修理はコイル線を1周くらい解く場合が多いですが、これだけなら特性もほとんど変わらないはずです。
しかしまぁ老眼の影響で、この程度の作業でも辛くなってきました。悲しい・・・
特性チェック。
うーん・・・
直した方の最低共振周波数が高いです。
数値でいうと約1200Hz、生きている方は1000Hz、2割の差は私の基準では大きいなと。
原因はわかりませんが、短時間でもコテ当てたので熱の影響か、元々か・・・
クロスオーバー周波数が1.5kHzという事を考えると、ギリギリ許容範囲ですかね。
まぁ現時点ではどうにもしようが無いですし、その差が耳で判別できるかといえばアレですので、このままヨシとして進めます。
近い将来、またバラす事になると思うので、純正コルクではなく100均の植毛シートを貼りました。
これなら剥がす時に破けても精神的ダメージはありませんからね。
凶器と鈍器を箱に組み付けていきます。
完成です。
植毛シートの色が・・・ちょっと浮いてしまったかな。
脱墓石を狙ってワインレッドにしましたが、やっぱり墓石らしく黒にしておけばよかったかもです。
わくわくの試聴タイム!
あー・・・
ウーハーのエッジ交換作業中になんとなく気にはなっていたのですが、カチコチのカーボンコーンの音というか響きが独特で、それが再生音にもそのまま出ていますね。
なるほど、これがピュアクロスカーボンの音なのか!?
入力された信号を、余す事なくクッキリハッキリ積極的に描こうとするスピーカーですかね。
明るくパワフル、高域寄りのパワーバランスで解像度も高いのですが、ちょっと攻めすぎかな?
これとモスラの組み合わせって、合わないんじゃぁ・・・???
あ、でも時折鬼のような低音がドっと押し寄せてくる様はモスラに通じるものがありますね。
なんとなくオーテクのAT-SP500っぽい雰囲気がありますが、あそこまで極端ではないので音楽を気持ちよく聴く事ができます。
聴けるのですが・・・ずっと聴いていると疲れちゃうかなぁ?
下のD-502Aのほうがリラックスして楽しめますね。
エージングで変化を楽しむとしましょうか。
モスラ・・・腰痛になってからは出番はなくなしました。
重すぎるんですよ。ラックの中でホコリで真っ白になっています。
音質もパワーも私的には十分なので不満は無いのですが、生きているうちに、歩けるうちにモスラを作業部屋へ運び込んで、この墓石を鳴らしてみたいですね。
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