車載用アンプの修理2013年12月31日

もう年が変わろうとしていますが、ずっとさかのぼって春先の話です。

愛車に付けているアンプの調子が悪くなったので修理しました。
クルマも古いですが、オーディオはもっと古いです。
簡単にシステムを紹介しますと、アルパインのCDA-7949J+PXA-H600を中心に仕上げています。
フルデジタル処理によるタイムアライメントやパラメトリックEQなど、今となっては低価格モデルにも当たり前に搭載されている機能ですが、、このモデルはその先駆けとなったものです。
今時の製品と違って、しっかりと作られた高音質モデルで、残念ながらこれに代わる製品が出てこないので(あってもクソ高い)修理しながら使い続けています。



さて、今回修理するのはアルパインのMSV-1050というアンプです。
初代V12シリーズですが、ほんの一時期というか一瞬だけ発売された幻といってもいいくらいの珍しいアンプです。



終段は無帰還となっていて、音もMRVシリーズとは全く異なる方向で、若干の甘さがあるものの温かみのある不思議な甘さで声が声らしく色っぽく、音場は立体的に突き抜ける、車載アンプらしからぬ音が楽しめます。
でも、ほら、カーオーディオの世界というのは「大出力=高音質」っていうレベルですからね。
100Wのアンプよりも200Wのほうが高音質っていう世界ですからね。
無帰還で100Wしか出ないのに10万円という価格じゃ売れないのは当たり前。
でもまぁ、よく製品化してくれたもんですよアルパインさん。
直して治して、まだまだ使い続けますよ!



症状は、2台(前後)とも時々片チャンネルあるいは両チャンネル音が出なくなるというもの。
リレーは以前メンテしていますので、アレかなぁと。



完全ツインモノ構成で、基板のほとんどが電源部です。



パターンも美しい。
ラックスマンのSTARサーキットが採用されています。



所々にパッチが当てられているのが見受けられます。
初期ロットだからでしょうか。
いや、初期ロットで生産が終わった可能性も・・・



入力モード等の切り替えスイッチを外します。
コイツが犯人なのはずいぶん前からわかっていたんですけどね。
グリグリすれば直ったので、それでごまかしていました(^^;
今回はちゃんと治します。



接点がご覧の通り。
車室内という高温多湿な環境の中なので仕方ないですね。
コイツをピカピカに磨いて酸化防止も兼ねて接点グリスを塗っておきます。
2chモードでダイレクト入力でしか使わないのでスイッチ撤去して直結でもいいんですけどね。



リレーも念のためチェックします。
接点は痛んでいませんでしたが、鏡面にしときました。



動作確認。
オッケーですね。ちゃんと音が出ます。
グリグリしても安定しています。
アイドリング電流調整用の半固定抵抗も交換したので、調整します。
気持ち、多めに(^^;

このまま暫くエージングしてアイドリング電流が安定しているのを確認して完了です。
まぁ、本当は電解コンデンサや石なども交換してやりたいところですが、まぁそれはまたの機会に。
と、ここまでの作業は春先に終わらせていたんですけどね。



クルマに戻したのは夏が終わって寒くなってから(^^;
だって、夏は暑くて死にそうだったんだもん!



取り付けてセットアップしてみると、右フロントの音が出ない!!
調べてみると、スピーカーの配線が途中で断線している事が判明。
ドアヒンジ部分のブーツ内でキレイに切れていました。
音が出なかった原因がここにも・・・!

まぁ屋内用のスピーカー専用ケーブルでしたし、なにより年数経過していますからね。仕方ないかなと。
今回は太いスピーカーケーブルではなく、産業用のロボット線で引き直しました。
もちろん、助手席もです。

ちなみにスピーカーはアルパインのDDC-F17Aという初期のDDDrive。
抜けが良く耳障りな音がしないのでずっと愛用しています。
セットのツィーターはちょっと薄くて大人しい感じでしたので、HiViのTN28に交換しています。

ドア内部もしっかりダンプして響かないようにしてあります。
サービスホールも全部塞いであるので、パワーウインドウが壊れたら修理が厄介です。
でも、ここまでしっかり手を加えると、ドアを閉める音も変わってきますよ。



せっかくなのでバッテリーも交換。
本当は55B24Lが正解なのですが、Rが処分で2000円で売っていたので即げっと。
パナソニックがこの価格は嬉しいですねぇ。



ウーハーはパイオニアのリニアパワーのエッジレスユニットを4発使っています。
昔は12インチ2発を大きい箱に付けてアンプ2台600W+600Wでドライブしていたのですが、こちらのほうが反応が良く聞きやすいです。
やっぱ量より質ですよ。

タイムアライメントも調整してセットアップ完了。
住宅地なので、自宅では小さい音でしか音楽を楽しめない環境ですが、クルマならけっこう思い切った音量で楽しめるのがイイですね。
帰宅途中で、信号や渋滞に引っかかっても「まぁいいか。そのぶん音楽を楽しもう!」ってイライラしないでのんびりと、ね。
そんなわけで、私にとってはクルマのオーディオもけっこう貴重な存在なんです。

もうすぐ車齢13年なので自民党の弱い者いじめ政策の一つである重課税の対象になってしまいます。
無駄な税金は払いたくないので買い換えたいところではありますが、そんな余裕なんか何処にも無いですし、まだ動くし、なにより今の時代のクルマに乗り換えたら、この音質を実現させるのはほぼ不可能です。
実現出来たとしても、便利で快適なシートアレンジが機能しなくなってしまいます。

アンプ3台とDACユニット、ウーハー4発付いていてもフル乗車で出かけられる。
シートも普通にフルフラットにできるし荷物フル満載でキャンプだってこなせちゃいます。
今のクルマじゃぁ、こうはいきませんからね。
もうちょっと、このクルマと、このオーディオと付き合って行くとしましょうかね。


第4回自作スピーカーコンテスト2013年10月28日


今年も音楽之友社stereo主催の「第4回自作スピーカーコンテスト」に行ってきました。

今回から「一般部門」と「匠部門」そして「家族協作部門」と増えました。
対象のユニットも5センチ口径とくれば、大音量派のみならず、私の大好きな小さいスピーカーも沢山集まってくるのではないかと。
こりゃ新しい何かが発見できそうな気がしたので、今年も正規の手続きを経て潜入してきました。



渋滞を恐れてちょいと早めに神楽坂に到着したので、有名なパン屋さん「メゾンカイザー」へ。
人気のクロワッサンやバゲットをゲット!
中でも軽く食事が出来るんですね。
ま、今回はお持ち帰りです。



私道だか公道だかわからない道があちこちに。

本当はね、茶寮っていうカフェに行きたかったのですが、開店前から長蛇の列で・・・
並ぶのが大嫌いな私は素直に断念。

ま、しょうがないやねって、あちこちブラブラと。
神楽坂って、神社が多いんですね。
ちょうどお祭りやってたりと、あちこち賑やかでした。


神社といえば赤城神社。
群馬の赤城神社とは違うけど、繋がっているようないないような(^^?

ちなみにねこの郵便局とやらはまだ開店前でした。



あれ?こんなんだったっけ??
そういえば以前来た時は工事してたっけ。
こんなにキレイになっちゃったんですね。



そんな事をしているうちに時間になったので、音楽之友ホールへ。



入ってすぐの入り口で、毎度毎度のラックスマンが。
またまたなにやら怪しい赤い基板が・・・
な、なんと来年1月号の付録になるというLXA-OT3が!
あのLXA-OT1のファインチューン版なんだそうで。
基本的には同じって事らしいですが、パターンがめっちゃ本気で嬉しいじゃないですか!
予約しなくちゃ!



ホールに入ると既にこんな感じで試聴会が始まっていました。
去年は時間が無くてじっくり見れませんでしたが、今回は・・・
でもやっぱり見ていると聴けないし、聴いていると見れないし・・・
聴くにも熱心なマニアさん達で満席だしで・・・難しいです(^^;



本で見た評論家の先生方の作品も展示してありました。
音、聴いてみたかったなぁ。



それにしてもですね、今年もレベルが恐ろしく高いです。
この曲面なんか、どうやったら・・・?!



ホームセンターで入手できるパーツを厳選し組み合わせて作られた作品。
毎回素晴らしいアイデアに脱帽です!

さてさて、全部は紹介しきれないので、小さいスピーカーで気になった作品のみ紹介して行く事にしますね。
え?何故かって?
小さいスピーカーが好きだからですよ。そう、完全に好みの問題(^^;
オーディオなんてそんなもんでしょ?!

大きい自作スピーカーっていうのは・・・なんといいますか、完全に好みの問題なんですけどね、
だいたいバックロードや共鳴管で低音を稼ぐ方式になるのですが、「ぶわ~ん」とか「ぼわ~ん」っていう音になっちゃって、必ず声が濁るので聴いていて疲れちゃうのでダメなんです。

ま、住宅密集地にある狭い家に住んでいるので、大型大音量というのに嫉妬しているってのもあるかもしれませんが(^^;



小さくてユニークなスピーカーがいっぱい!
んもう、楽しいじゃないですか。



ペットボトル・・・ではなくガラスの瓶にスピーカーが!!
すごい、どうやって開けたんだろう?!
ダイヤのホルソみたいなので地道に頑張ったんだそうで。
穴を開けたのも凄いですが、このために中身を飲み干したほうが凄いかも(^^?



家族協作部門の親子作品。
懐かしい!昔作ったかるがもスピーカーを思い出しました。
お子さんと一緒に作ったんだそうです。
小さな第1室に大口径ダクト。これだけでかなり「攻め」の方向である事が容易に想像できます。
音も「攻め」の姿勢そのまんま。元気いっぱいの男の子って感じのサウンドでした。
残念なのは今回はお父さんだけの参加だった事。
次回は親子で来てくれるといいなぁ。



出た!キワモノ!(^^;;;
母娘で作った全身紙粘土のヘビ型スピーカーの登場です。
音は、意外(?!)にも普通ですが、ローエンドまでしっかり伸びています。
ディップがあるのは確かですが、刺激的な音が出ないので気持ちよく聴けます。
で、後で知ったのですがスタンドにも一工夫してあるバックロードホーン方式なんだそうで!!

バックロードというと、ボーカルが濁って煩い音になりがちですが、このヘビちゃんはスッキリとした音でボーカルもクリア。とてもバックロードとは思えません。
うーん、バックロードに対するイメージが、ちょっと変わってしまいました。



円柱型のスピーカー。
なんと!現役中学生の作品です!
密閉?バスレフ?それとも・・・??
バスレフのように意図的に低域を得ようとしたのではなく、いわゆる背圧がかからないようにする事をイメージして設計したのだそうです。
なので、背面開放型に近い構造になるのでしょうか。

音は、腰の弱さは否めませんが、立体感はなかなか。
全体的に柔らかくフワっとしている感じは、昔作ったひょうたんスピーカーにどこか似ています。
本当に中学生??
今後が楽しみです!



SL型のスピーカー。
最初見た時はブリキか何かかと思ったのですが、何と陶器なんだそうで!
粘土から作って焼いたスピーカー!!
凄過ぎます!

陶器って、焼くと必ず縮みますが、それも織り込み済みで焼いているそうです。
もちろん、エントツがバスレフポートです。



近くで見てもこのディテール!!
うーん、欲しいっっ!!



で、授賞式が始まったわけですが、一般部門の第一位の作品を見てビックリ!



すみません、1位になるまで全然、、、気にも・・・・・(^^;;;

ボイド管丸出しでバッフルをボルトで連結している構造は、昔作ったペットボトルスピーカーを思い出させてくれます。

音はこれまた衝撃的。
見事なバランス。危なっかしさが無いです。
バスレフポートが効率的に効いていて、低域の伸びはもちろん、量感と解像感のバランスが見事としかいいようがないです。
バッフル面積の小ささからくる定位の良さはもちろん、妙な付帯音もなくユニットの素+低音という印象です。
見た目と、1位と、そして何より音を聞いて、もう驚かされっぱなしです。
完全にやられました(^^;



スピーカーを作ってセッティングという作業をする時、だいたい箱は仕上がってしまっているのでバスレフポートの長さを変えたり吸音材を増減したりする程度しか出来ないものですが、このボイド管を使った構造なら管の長さを変えるだけで容積も変えられますしポートの変更も容易。
しかもボイド管は非常に安価ですから、気が済むまで作っては試してという作業が楽しめるわけです。

あまり多くは語っておりませんでしたが、ああでもないこうでもないという気の遠くなるような作業を死ぬほど繰り返して、このサイズに落ち着いたのだと思います。
そうでなければ、この領域まで持ってこれないですよ。

私がスピーカーの試作をする時は、ドフのジャンクスピーカーを活用したりしています。
1から板材で箱を作るとなると手間もそうですしそれなりに費用もかかりますが、ジャンク箱を活用すれば比較的安価でラクに作る事ができます。
しかし、このボイド管のほうがはるかに自由度が高いです。
何より容積を容易にしかも安価に変更できるのは非常に魅力的です。
処分する際もふんずけてポイで済む点も見逃せません。
試作にはモッテコイですね!

ボイド管というと強度面で不安を感じますが、音を聴いた限りでは全く問題ないと思います。
低音域の解像度もしっかりしているのがその証拠。
ガッチリ作られた大柄なバックロードや共鳴管のほうが「ぼわ~ん」ってだらしない音になったりしますから。

とにかくこのボイド管スピーカーは衝撃的でした。
このスピーカーに出会えただけでも、はるばる群馬から上京してきたかいがあったってもんです。
大収穫!!



音圧を稼ぐために複数駆動を採用した作品も多数出品されていましたが、中でもこのスピーカーの音のまとめ方はハイレベルでした。
複数駆動は簡単に音圧を稼げる半面、バランスという点で難しい面を持っているものですが、見事なパワーバランスでした。

そんなこんだで、気が付けばどっぷり日が暮れてしまいましたので、まだ全作品を聴けていませんが途中退場で帰路につきました。

よりハイレベルなコンテストになって一部の究極的なマニアしか参加できなくなったように思われるかもしれませんが、そこは家族協作部門が新たに加わったので、むしろ誰でも気軽に参加できるようになったと思います。
音も大切ですが、オリジナリティや作る過程を楽しむ事も大切。
そういう部分もしっかり評価されている点からも、決して大型重低音スピーカーが偉いというコンテストではないという事がわかるかと思います。

今のおじいちゃん世代が若かった頃は、わざとでかい音で音楽を鳴らして近所に自慢する行為が流行ったようですが、今の時代ではそれは認められなくなりました。
爆音オーディオの時代は終わったと言って良いでしょう。

これからは良質な小型スピーカーで周囲に迷惑をかける事なく適度な音量で気持ちよく音楽と接する、そんなスタイルが良いのではと思います。
ヘッドホンも良いですが、家で聴くならやっぱりスピーカーでしょ!

もっともっと、自作スピーカーを楽しんでくれる人が増えると、いいなぁ!



今朝の朝食はメゾンカイザーで買ってきたパン。
クロワッサンはバターの風味が絶品!
焼きたてならもっと美味しいんだろうなぁ。
神楽坂、また行ってみたいですねぇ。
もちろん、第五回のコンテストも、楽しみにしていますよ!